たっちーの、駄っ文だぁ

某140文字では書ききれない程度の駄文を書きます。

【ショートショート】とある鎮守府の一日。男装漣?

ちょっとTwitterで盛り上がってした艦これの漣ちゃん妄想Tweetから派生して、ショートショートを書いちゃいました。
折角なので公開しようと思います。

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とある出撃後の船渠。ここには出撃を終えた一隻の駆逐艦が修理のため入渠していた。

カポーン

「ふぅ…メシウマぁ♪」
綾波駆逐艦9番艦、漣である。こう書いてさざなみと読みます。
「でも、お風呂私だけかぁ。もう少し頑張らないとなぁ。ご主人様のためにもっ。あ、でも足を伸ばせるのはいいかも。えへへ。」
と、独り言を呟きうぅ〜ん、と伸びをする。
提督から最初の秘書艦に選ばれた漣は夏の南方海域でまさかの轟沈。
必ずまた戻ってくる、と約束するもなかなか叶わず、つい先日霧の艦隊との共同戦線にて念願の再会を果たす。
霧の艦隊が去って2週間。漣はご主人様に尽力すべく、強くなっていった同期の船に先導され日夜遠征や出撃を繰り返しているのだ。
「ご主人様、イムヤちゃんお迎えしたい!って頑張ってたもんなー。それにしては潜水艦の子、見当たらないけど…ま、私との再会をあれだけ喜んでくれたし、ご主人様が満足なら私も嬉しいし!…嬉しいし!!…はぁ。」
別れから再会の軌跡を思い出し感傷に浸る。
任務を共に出来なかった半年弱は漣にとって永遠にも近い時間だったに違いない。
「さて〜今回も〜やられてしまいましたが〜。あっそれは違うや。そろそろあがらないと。…あれっ?」
そろそろ修復が終わろうとした時。湯船からあがった漣は異変に気付く。
「あっ。はにゃ〜っ!嘘っ!?」
脱衣所を覗いた漣の疑惑が確信に変わる。
そこに何たる偶然か、提督が通りかかった。
提督に気づいた漣は脱衣所から万感の思いを込めて叫ぶ。
「ご主人様っ!あのっ。ごめんなさい!その、制服を全て洗濯してしまって…えと、乾いてなくて。えっと…」
曇り硝子の戸を少し開け、顔を半分だけ出し困惑の表情を浮かべる。
そんな漣の顔を見た提督は強く頷き小走りで自室へと急いだ。

ーーー

待つこと数分。提督は船渠前に戻ってきた。
とりあえず下着を付けバスタオルを羽織り待っていた漣は提督の手にあるものを見て驚く。
「えっ!?それはご主人様のっ。…かりちゃって、いいの…?」
提督は気にするな、といった表情で手にした自らの軍服を差し出す。
「あ、ありがとうございます!ご主人様っ。」
漣は笑顔で提督の軍服を受け取り、脱衣所の奥へと消えていく。
それを確認した提督は自室に戻るよ、と一言声をかけ去っていった。
「うわぁ!ご主人様の軍服ktkr!!…あ、でもちょっと大きいな。手が指までしかでないや。…ふふ。」
脱衣所ではそんな楽しそうな声が響いていた。

所変わって提督の自室。
提督はひとり黙々と次の出撃に備えて編成を組んでいる。
コンコン。
控えめなドアのノック。提督はあいてるよ。と一言。
「失礼します。ご主人様。」
入ってきたのは漣だ。
「服、ありがとうございます。ど、どうかな。ちょっと大きくてブカブカなんだけど…」
袖は長く指が半分隠れ、足元は三つ折り。お礼を言いに来た、というよりいつもと違う自分の姿を見せにきたといった感じだ。
若干顔を赤らめてモジモジする漣。
やはりあのセーラー服でないと本調子が出ないのだろうか。
そんな調子の出ない漣を見て提督は笑顔を浮かべる。そして席を立ち、帽子掛けに掛かっていた帽子を手に取り無言でポンっと被せてやる。
「えっ!?帽子までっ!そんないいんですかご主人様?…あ。でも嬉しい。ありがとっ。」
満更でもない漣はさらに顔を赤くする。
そんな甘い空間に空気を読まず高速で現れる影が。

バーン!!!

「はうっ!?」
勢い良く開いたドアに吹き飛ばされる漣。
「Hey!提督ぅ!!今度の出撃もワタシの実力見せてあげるネー!!Follow Me!!!」
現れたのは超弩級戦艦金剛だ。持ち前の高速力を活かして、今は大活躍ではない。大失態だ。
「Oh!?提督ぅ!?ダイジョーブ?コレ、ワタシのせいー!?…って、何かミニマムになってるヨー!!」
うずくまる漣に声をかける金剛。明らかに勘違いをしているようだが。
そこにやれやれ、と本物の提督が金剛の肩をたたく。ポム。
「金剛〜。あたしよ〜。何も言えねぇ。」
漣も頭をさすりながら自身を主張。
「ワーオ!漣ぃ!なんデスかその格好はー!?とっても似合ってマスねー!」
そう叫ぶや否や金剛は入ってきたドアをまた蹴破って廊下へ。
「霧島ー!きりしまぁ!!カメィラを用意してー!ワタシ達の出番ネー!漣が珍しい格好をしてるのを記念に収めるヨー!」
「えっ!?待って金剛!調子に乗ると、ぶっ飛ばしますよ!?」
思わず口にだしてしまう漣。
提督は蝶番の壊れたドアと金剛を見比べ、落胆の表情だ。

この鎮守府はいつも賑やか。今日も一日中ドタバタ劇が繰り返されていく。
この後金剛が、提督の命によって数時間正座をさせられたのはまた別のおはなし。

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如何でしたでしょうか。
ショートショートは昔mixiで何本か書いたぶりだったのですが、漣ちゃんへの愛もあり、とても楽しく書けました!
Twitterで絡んでくれた皆さん、ありがとうございます!!!